2023年度大学入試では、情報・データサイエンス系学部を新設する大学が増加。文系の大学でも理系科目を必須とするところが出てきています。24年度以降の受験生はどのようなことに気を付けたらいいのか、塾・予備校の専門家は、親世代が「知らない学部」を理解する努力が重要と話します。(写真=大学入学共通テストの開始前、控室で参考書などを読んで待機する受験生たち 2023年1月14日、兵庫県西宮市の関西学院大/朝日新聞社)
情報・データサイエンス系学部の新設増加
情報分野の人材需要の高まりを背景に、2023年度から情報・データサイエンス系の学部を設置する国公立大学が複数、登場しました。一橋大ソーシャル・データサイエンス学部、名古屋市立大データサイエンス学部、和歌山大社会インフォマティクス学環などです。これらの学部は、文理融合教育や分野横断型教育を掲げています。
河合塾教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは、「私立大も同様に文系、理系といった分け方はもう、時代に合わなくなってきています。学びたい学部を決めるときに、『数学が苦手だから受けられない』と安易な考えで判断してしまわないようにしましょう。親御さんも早い段階で、安易に科目数を絞らせないほうがいいと思います」と、アドバイスします。
東京外国語大は共通テストで数学2科目を必須科目に変更
新設学部では、名古屋市立大データサイエンス学部は、共通テストで必須となる理科について、基礎中心の理科①では受験できません。一橋大ソーシャル・データサイエンス学部の2次試験の後期では、数学Ⅲの範囲からも選択問題を出題するなど、理系の生徒に有利な試験となっています。また、こうした分野の学部では、入学後にも数学の知識は必要になります。
「国公立大志望であれば、文系でも理系科目の受験が必要です。高3になって『やっぱり国公立大がいい』となった場合、学習が間に合いません」(河合塾・近藤さん)
共通テストで課す科目を変更する大学もあります。23年度入試では、東京外国語大がこれまで「数学①」「数学②」のいずれか1科目でよかったものを2科目必須としました。これにより外国語の配点は200点から150点に下がり、数学の配点は50点から100点と2倍になりました。
「外国語だけでなく、数学の幅広い知識が必要という大学側のメッセージでしょう。東京外国語大に入りたいなら、数学を苦手科目にしてはいけないということになります。この例から考えると、科目の得意不得意で理系か文系かを決めてしまうと、選択肢が狭くなるのがわかります。大学でどのようなことを学びたいかを早い時期から、親子でよく話し合うことをおすすめします」(同)
「ちゃんと就職できるの?」はダメ
冒頭で紹介したような新設学部の多くは、保護者の学生時代にはなかった学部です。また、受験に必要な科目が変更になったり、入試方法が多様化したりしています。「だからこそ、親御さんには子どもが受けたいと言っている大学や学部のことを理解する努力をしてほしいのです」と代々木ゼミナール教育事業管理本部本部長の佐藤雄太郎さんは言います。
「受験生が親に対して抱いている気持ちを調査したアンケートは複数ありますが、どれも上位に『入りたい学部や入試の内容を理解してもらえない』といった内容がきています。例えば、『そんな聞いたことがないような学部に入って、ちゃんと就職できるの?』と親から言われるといったケースをよく聞きます。そのようなことを言われたら、子どもはやる気をなくしてしまいます。まずはできるだけ早い時期に子どもが大学で何がやりたいかを話し合い、親御さんは大学や学部について、自分なりに調べることが大事だと思います」(代々木ゼミナール・佐藤さん)
駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一さんは、「子どもに失敗させたくない」という考えの保護者が多いことに警鐘を鳴らします。
「近年、親が楽だからと子どもに年内入試をすすめる傾向があると感じています。何か提案するよりも、まずはできるだけ子どもの意向を聞いてあげてほしいですね。リスクがあっても、果敢に第一志望を受けてほしい。たとえ失敗しても、お子さんのその後の人生にはプラスとなるはずです」
あわせて読む
記事を気に入った方は
「いいね!」をお願いします
今後の記事の品質アップのため、人気のテーマを集計しています。
関連記事
注目コンテンツ
-
「環境×電子工学」で持続可能な未来を切り拓く――4月発進! 関西大学「グリーンエレクトロニクス工学科」が育成する”半導体人材”とは?
スマートフォン、ゲーム機、家電、自動車――半導体は世の中のあらゆる電子機器に使われているが、その一方で半導体業界の人材不足が深刻化している。今求められているのは、半導体分野にとどまらず、環境やエネルギ
2026/06/02
PR
-
2028年4月、中央大学が「情報農学部(仮称)」を新設(設置構想中)。東京・八王子を拠点に、農・食・環境の課題に挑む
2028年4月、中央大学に「情報農学部(仮称)」(※1)が新設される。学びの拠点となるのは、東京・八王子市にある多摩キャンパス。伝統的な農学の知見にAI・データサイエンスなどの情報科学を基盤とした最先
2026/03/13
PR
-
AI の普及により世の中が大きく変化し、先行きが見えない不確実な時代。社会で活躍し、自分らしい人生を切り拓くためには、どのような力を身につけるべきなのでしょうか。受験勉強や大学で学ぶことにはどんな意味
2026/07/01
PR
入試
-
「成績ダウン」原因はホントに部活? 悩む親へ、プロ家庭教師からアドバイス
■大学進学お悩みなんでも相談室 受験期を迎える子どもがいる場合、悩ましいことの一つが部活です。部活に思い切り打ち込んでほしいと思う一方で、勉強時間の確保が気になります。プロ家庭教師として多くの中高生の
2024/08/03
PR
-
-
2学習参考書の出版社が舞台のマンガ『ガクサン』作者に聞く 良い選び方と、いまの中高生の悩みとは?【前編】
■著名人インタビュー 受験生にとって、日々の勉強の相棒とも言えるのが学習参考書です。そんな参考書の魅力を、出版社に勤める社員や編集者の視点で描いた学習参考書マンガ『ガクサン』(講談社)が、人気を集めて
2025/07/30
PR
学部・学科・研究室
-
韓国語がペラペラに?外国語学部を選んだ理由とは?文京学院大学の女子大生に質問!!
お悩み募集メールはこちら↓ 【アドレス】 daigakudokoiku.staff@asahi-dl.com
2023/07/31
-
インフラ長寿命化、地震防災、水・風・火災害、地域防災、ハード・ソフト融合防災、途上国・大都市防災の各研究ユニットの活動により、オープンイノベーション的に研究と教育を展開し、行政やインフラ管理者、民間企
2023/08/03
-
『オモシロイを形に』世界につながるものづくり教育で次世代のファーストペンギンを育てる(信州大学 教育学部 ものづくり・技術教育コース 村松浩幸教授)
ファブラボという言葉を聞いたことがありますか? ファブラボは、いま世界にネットワークを広げている、デジタル工作機器を活用した市民向けのものづくり工房です。 信州大学教育学部の村松浩幸教授は、長野市を拠
2023/08/03
-
スポーツと『学問のすゝめ』5人のアスリート×伊藤公平(慶應義塾長)【前編】
『学問のすゝめ』刊行150周年を記念して、慶應義塾長の伊藤公平が、スペシャルゲストと対談を行いました。予測困難な現代にも通じる福澤諭吉の教えを、それぞれの視点から読み解いていきます。 世界で活躍するア...
2023/08/03
-
爽やかな初夏の松本キャンパス。 北から南まで、各キャンパスの桜の様子をどうぞご覧ください。雪解けが進むアルプスを背景に、ツツジやマーガレット、シャクナゲなどなど様々な花が咲き誇ります。お昼休みにもなる...
2023/08/03
PR
-
自身の未来を拓こうともがき、時には挫けそうになったことも。 そんな学生を多くの人が励まし、乗り越えていくリアルなドキュメンタリー動画です。ぜひ、ご覧ください。...
2023/08/03
-
多様な健康長寿社会のためのバウンダリ・スパナー・デザイン研究拠点紹介
学問境界や最先端技術と社会の境界、身体能力や文化などの境界(バウンダリ)を超え互いの営みに対する理解を促すとともにそれら要素が成果(社会実装)に結びつくメカニズムを機能させる方法論(スパナー)を確立す...
2023/08/03
-
創価大学「キャンパスストーリー VOL.11」〜勇気と希望を演奏に乗せて〜
パイオニア吹奏楽団が2022年の「全日本吹奏楽コンクール(大学の部)」で、3大会ぶり5度目の金賞を受賞しました。コロナ禍の中での練習を知恵と工夫で乗り越え、悲願の「日本一」を果たした道のりと成長の様子...
2023/08/03
おすすめ動画
大学発信の動画を紹介します。
大学一覧
NEWS
教育最新ニュース
- 子どもの心のケア、AI活用で先生を支援 ソフトバンクが新サービス 2026年 08月 27日
- 「一つの大学では難しい」 鳥取大と岐阜大が「共同獣医学部」新設へ 2026年 08月 26日
- 学校女子トイレの行列、文科相「適切な対応、各自治体に促したい」 2026年 08月 25日
- 大阪公立大教授が科研費69万円不正受給か 出張先の訪問確認できず 2026年 08月 24日
- 学術会議の新会員、任命拒否6人は選ばれず 法人化後の125人発表 2026年 08月 22日
Powered by 朝日新聞