大学入試には私立大を中心に、大学入学共通テストの成績だけで合否が決まる「共通テスト利用入試」があります。2023年度入試の状況と今後の見通しについて、塾・予備校の専門家が分析します。(写真=大学入学共通テスト初日の英語リスニング試験開始前、監督者の説明を聞く受験生 2023年1月14日、東京都文京区の東京大/朝日新聞社)
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2023年度大学入試で共通テストを利用した大学は過去最多になりました。このうち私立大は535校で、22年度から2校増えています。
私立大が共通テストを利用する目的の一つは、国公立大に志願している受験生を取り込むことです。共通テスト利用入試は、共通テストの成績だけで複数の大学・学部学科を受験できる(個別試験を課す併用型の大学もある)ため、受験生の負担が増えることなく、国公立大と私立大との併願が可能になります。また、私立大志願者も同じように複数の大学を受験できる上、大学の個別試験とも併願できるメリットがあります。
上智大は共テ利用入試の追加で、志願者が大幅アップ

23年度入試では、共通テスト利用入試のおかげで前年度より志願者が増えた大学として、明治学院大、日本大、駒澤大などがあります。代々木ゼミナール教育事業管理本部本部長の佐藤雄太郎さんは、志願者が増えた大学の中でも伸びの大きかったある私立大に注目しています。
「私どもの調査では、2023年度入試では、上智大の志願者が前年比118%と大きく増加しました。これは共通テスト利用入試の志願者が増えた影響です」
上智大は23年度の共通テスト利用入試で、従来の4教科型に加え、3教科型を新設しました。必須科目が減ったことで、数学を苦手とする文系の受験者を中心に人気が高まったと考えられます。
「今後も上智大のように、難関校が入試の方法を変えることで志願者が増えるということは十分にありえるでしょう。ただ、全体としては共通テスト利用入試の志願者は減少傾向にあります。受験人口の減少がそのまま志願者数に影響している形です」(代々木ゼミナール・佐藤さん)
「一般選抜組」「年内入試組」に二極化
24年度入試は、現行の教育課程最後の共通テストになるため、合格を確保したい受験生が共通テスト利用入試にも多く出願すると予想されています。ただ、「新課程入試となる25年度以降、出願者は減っていくだろう」というのが、専門家の共通する見方です。その理由は受験人口減少の影響だけではなく、私立大専願者の共通テスト離れが起きると見られているためです。
河合塾教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは、次のように分析します。
「大学入試センター試験の時は、センター対策がある意味、私立大一般入試の基礎対策も兼ねる部分がありましたが、共通テストは問題内容が大きく変わったことで、別途、共通テストのために勉強しないと得点できません。私立大専願者にとっては、共通テストを受けるメリットがないと考える人が増えてきていると思われます」
駿台予備学校進学情報事業部部長の石原賢一さんは、2022年12月6日に大学入試センターが発表した「令和5年度大学入学共通テストの志願者数について」内の「現役志願率(高等学校卒業見込者に対する志願者の割合)」に注目します。

「現役志願率自体は45.1%で、過去最高になった前年と比べると、わずかに減少しています。また、地域別にみると、東京都や神奈川県、千葉県、大阪府など大都市を中心に、前年よりも志願者の減少が目立ちました」
その理由として、大都市部には有力私立大が数多くあることが考えられます。
「共通テストの出題形式の変化や22年度の平均点のダウンにより、大都市部では共通テストを敬遠し、私立大の一般選抜や『年内入試』に流れた受験生が多いと考えられます」(駿台予備学校・石原さん)
私立大は、高3の秋に出願し、11~12月に合否が決まることが多い総合型選抜や学校推薦型選抜といった「年内入試」を実施しているところがほとんどです。入学定員の約50%を年内入試にあてている大学も珍しくありません。
「ただし、難関私立大は年内入試の募集定員を増やしておらず、当面は一般選抜が中心です。このため、今後は国公立大や難関私立大を目指して共通テストを含めた一般選抜を受ける層と、年内入試を受験する層に二極化が顕著に進むと予測しています。そう遠くない将来、共通テストは入試の中心から外れていくことも考えられます」(同)
18歳人口の減少や、大学・学部数の拡大を背景に、大学入学志願者の総数が入学定員を下回る「大学全入時代」は目前に迫っています。
「選ばなければどこかの大学に入ることができる時代がすぐそこまで来ています。だからこそ、大学に入って何を学びたいのかを親子でよく話し合い、どの大学を第一志望にするか、そのための入試方法を慎重に選択することが大事なのです」(同)
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